大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)435 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人森長英三郎上告趣意第一点について。

論旨は、本件起訴状には別紙目録記載とありながら目録の添附がなく、いかなる

事実が起訴されたのか解らないのであるから、かゝる起訴に基く審判は憲法第三一

条に違反するというのである。記録を調べてみると、起訴状の末項には契印の跡が

あるし、また第一審公判での起訴状朗読に対し被告人はボストンバツグにつき弁解

していることからみても、起訴状には当初右ボストンバツグ等を記載した別紙目録

が添附されていたのが公判の審理を経た後に脱落したものと思われる。公訴提起の

手続は、公訴の提起に際して起訴状に所定の要件が記載されていた以上、有効であ

ると解しなければならないし、また仮りに別紙目録がなかつたとしても、起訴状に

は公訴事実と題して「被告人は法定の除外事由なくして昭和二四年一月七日東京都

港区所在省線a駅前附近において連合国占領軍の財産たる煙草その他別紙目録記載

の物資を所持したものである」と記載されているのであつて、煙草の所持とその他

の物資の所持とは一罪の関係にあるものと認められるので、これだけでも占領軍財

産不法所持罪の公訴事実につき日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定

しているものと言うことができ、従つて刑訴第二五六条に定める起訴状の記載要件

を満たしているものと認めることができる。それゆえ、公訴提起の手続が無効であ

ることを前提とする弁護人の憲法違反の主張はその前提を欠くことにより問題とな

らない。

同第二点について。

事実審たる裁判所が被告人に対し法定刑の範囲内でした量刑は、被告人の側から

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見てそれが重いからといつて残虐な刑罰とはいえないことは当裁判所の判例とする

ところである(昭和二二年(れ)第三二三号同二三年六月二三日大法廷判決)。そ

れゆえ、論旨は理由がない。

同第三点について。

所論は、控訴審たる原裁判所において主張されなかつたばかりでなく、刑訴第四

〇五条に定める上告の理由にも当らないので採用することができない。なお、本件

については刑訴第四一一条を適用すべき場合とも認めることはできない。

よつて、刑訴第四〇八条第一八一条に従い主文のとおり判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

昭和二五年一一月二一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

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